2DCAD用のノートパソコンを選ぶ際に重要な事は、使うソフトが動くスペックを知る事です。
とはいっても使うソフトが決まっていなかったり、公式サイトの動作環境をみてもイマイチ分かりにくいといった事もよくあります。
2DCADは比較的低スペックのパソコンでも動きますが、ノートはデスクトップよりも性能が落ちがちなので注意が必要です。
この記事では、2DCAD用のノートパソコン選びで迷わない為に必要なスペックの選び方から、コスパの良いメーカー、目的別のおすすめパソコンを紹介します。
いっちー
目次
2DCAD用ノートパソコンの選び方!CPU、GPU、メモリなど
CAD用パソコンを選ぶには最初に、使うソフトが動くスペックを知る事です。まずはここから始めます。
CADといってもソフトによって必要なスペックは変わってきます。
スペックが分かったら次はどのメーカーのパソコンを買うか決めなければなりません。
パソコンは同じスペックでもメーカーによって価格が違うので、安くて信頼のおけるメーカーから買うようにしましょう。
- ソフトが必要とするスペックを知る
- GPU(グラフィックボード)はQuadroP620
- CPUはCore i5かRyzen5
- メモリは最低でも8GB
- 安くコスパが良いのはBTOメーカー
以上の5点について、詳しく解説していきます。
① ソフトが必要とするスペックを知る
CAD用パソコンのスペックで重要なのは、CPU、GPU(グラフィックボード)、メモリです。
特にGPU(グラフィックボード)が重要で、この選択を間違えると快適に操作できないパソコンになってしまいます。
具体的にどれくらいのスペックが必要なのか、有名CADソフトが推奨しているスペックを見てみましょう。
2DCAD | |||
CADの種類 | GPU(Quadro) | CPU | メモリ |
AutoCAD | P620~P1000 基本:1GB 推奨:4GB |
基本:2.5~2.9GHz 推奨:3GHz以上 |
基本:8GB 推奨:16GB |
jw_cad | CPU内臓グラフィックス | Corei5以上 | 4GB以上 |
Revit | P620~P1000 | 2.5GHz以上 (複数コア使用) |
8GB以上 |
ご覧のように、2DCADといっても内蔵グラフィックでは非対応のソフトもあります。
2DCADでもGPUはQuadroP620以上、CPUは2.5GHz以上、メモリは8GB以上欲しいですね。
もう少し具体的に、GPU、CPU、メモリについて解説します。
② GPU(グラフィックボード)はQuadroP620
グラフィックボードにはいくつか種類があるのですが、QuadroがCADソフトとの相性が良いのです。
3Dモデリングをしないので、 CPU内蔵グラフィックスで十分だという意見もありますが最近の2DCADは必要スペックが高くなってきています。
Quadroも種類があって、主なものは以下のようになっています。
Quadroの種類 | CUDAコア数 | メモリ容量 |
P620 | 512 | 2GB |
P2000 | 1024 | 5GB | P4000 | 1792 | 8GB |
RTX4000 | 2304 | 8GB |
P5000 | 2560 | 16GB |
RTX5000 | 3072 | 16GB |
P6000 | 3840 | 24GB |
RTX6000 | 4608 | 24GB |
P以降の数字が大きい方が性能も良いグラフィックボートですが、性能に比例して価格も高額になりますが、2DCADであればP620で十分でしょう。
ソフト別の必要なQuadroは以下の表を参考にしてください。
2DCAD | |
CADの種類 | GPU(Quadro) |
AutoCAD | P620~P1000 基本:1GB 推奨:4GB |
jw_cad | CPU内臓グラフィックス |
Revit | P620~P1000 |
Jw_cadは、QuadroよりもGeForceが推奨されるので注意してください。
GeForceはCADよりもゲーム向けのグラフィックボートとなりますが、これはDirectXを早く処理出来るからです。
DirectXはゲームによく使われている技術ですが、まれにCADソフトに使われることもあります。
③ CPUはCore i5かRyzen5
2DCADで使うCPUはインテルのcore-iでもAMDのRyzenでも良いでしょう。
インテルならCore i5、AMDならRyzen5と覚えておくと分かりやすいです。
ただしCPUの世代によって処理能力は違うのでインテルであれば9世代以降のCPUにしましょう。
最新モデルであれば古くても2世代前のモデルまでを使用しているので問題ありません。
④ メモリは最低でも8GB
CADで使うメモリの目安は2DCADだと8GBです。
ただし、レイヤー数と要素数はメモリに依存する事が多くいので16GBにしても良いでしょう。
メモリはデータを処理する作業台のようなもので、メモリの容量が少ないとCADが動かなくなったりエラーが起こったり、最悪の場合はフリーズして画面が固まってしまいます。
フリーズして今まで作ったデータが消えてしまう危険もあるので、メモリ容量は多めにしておいた方が安心です。
⑤ 安くコスパが良いのはBTOメーカー
パソコンメーカーといっても沢山ありますが、BTOメーカーならコスパが良いパソコンが購入可能です。
BTOとは受注生産の意味で、注文を受けてからパソコンを作るので、在庫を持つ必要がなく低コストでパソコンが販売できます。
なので「NEC」や「富士通」といった国内大手PCメーカーよりも安い価格で同等のスペックのパソコンが買えるんです。
中でも低価格て品質が良いメーカーは以下の4つでしょう。
ツクモ
マウスコンピューター
パソコン工房
以下の章で、これら4つのメーカーから厳選してノートパソコンを紹介しています。
2DCADにおすすめのノートパソコン2選
Quadro搭載のノートパソコンを、販売しているメーカーはレノボやHPなのですが、一つのモデルにスペックが違ういくつかの構成が存在します。
その中から、以下の表を参考に目的に応じた構成のパソコンを選択してください。
スペック | CPU | GPU (Quadro) |
メモリ |
ロー | Core i5 | T500 | 8GB |
ミドル | Core i7 | T2000 | 16GB |
ここでは、Quadro T500固定で低価格の「レノボ ThinkPad P15s Gen 2」と、Quadroの選択肢が多いモデル「レノボ ThinkPad P15」を紹介しています。
- レノボ ThinkPad P15s Gen 2(低価格モデル)
- レノボ ThinkPad P15
ミドルスペック|レノボ ThinkPad P15s Gen 2
レノボのカスタマイズモデルです。自分好みのパーツで構成されたモデルが購入可能です。
このモデルは、GPUが「Quadro T500」固定でCPUが Core i5-1135G7~Core i7-1185G7まで選択可能。
GPUもCPUも最新モデルを使っていますが、GPUをQuadroシリーズでも低価格なT500に限定する事で、パソコンの価格を抑えられています。
Quadro搭載の安い最新モデルが欲しい方に向いています。画面サイズは15.6型です。
ただしGPUの性能はそれほど高くないので、AutoCADで出来る事には限りがあります。小規模なアセンブリ程度までと考えておきましょう。
ハイスペック|レノボ ThinkPad P15
レノボのカスタマイズモデルです。自分好みのパーツで構成されたモデルが購入可能です。
CPUはCore i5-10400H~Xeon W-10855Mまで対応、GPUはQuadro T1000~Quadro RTX 5000まで対応、メモリは8GB~32GBまで対応しています。
最低価格は209,660円(税込・送料無料)~最高価格647,438(税込・送料無料)まで選択可能なので、ご自身の使用環境に合わせて選べます。
画面サイズは15.6型です。
Jw_cadにおすすめGeForce搭載ノートパソコン2選
「Jw_cad」はGeForceの搭載が推奨されています。
Jw_cadを使用する上で、GeForceのスペックはそれほど高くなくても構いません。
ここでは、ロースペックとミドルスペックに分けて紹介します。
- ロースペック|GeForce GTX1650搭載
- ミドルスペック|GeForce RTX2060搭載
ロースペック|GeForce GTX1650搭載
VRAMが4GBのGeForce GTX1650で構成されていますが、価格が安く買いやすいモデルです。
現在、GTX1650よりも性能の低いGPUで構成されたノートパソコンが少なく、また最低でもVRAMは4GB欲しいことから、この構成となりました。
- GPU:GeForce GTX1650
ツクモ G-GEAR N1547K-710/T
CPU | Core i7-10750H |
GPU | GeForce GTX1650 |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 500GB SSD |
画面 | 15.6型 |
価格(税込) | 131,780円 |
ストレージがSSD500GBなので、使用状況によっては足りませんが外付けSSDで対応しましょう。それ以外の構成は問題ありません。
また、同じシリーズに1万円安いモデルがありますが、ストレージは250GBでメモリは8GBなので、今回紹介するモデルの方が断然お得です。
少しでも安い方が良い方は、N1547K-710/TではなくN1547K-700/Tという選択肢もありますが、あまりおすすめはしません。
>>ツクモで「G-GEAR N1547K-710/T」を見る
ミドルスペック|GeForce RTX2060搭載
fusion360の推奨スペック以上の構成で余裕を持ったモデルです。
VRAMを6GBのGeForce RTX 2060を搭載したモデルです。
VRAMが6GBのモデルはいくつかあるのですが、GeForce RTX 2060はその中でも最上位に位置しています。
- GPU:GeForce RTX2060
ツクモ G-GEAR N1574K-720/T
CPU | Core i7-10750H |
GPU | GeForce RTX2060 |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 500GB SSD |
画面 | 15.6型 |
価格(税込) | 154,800円 |
ストレージが500GBと少ないですが、GeForce RTX2060を搭載してこの価格は安いです。
ただしメモリが16GB、ストレージも500GBとちょっと少なめ。容量不足は外付けストレージで解消出来ますが、ノートパソコンのメモリは後付けが難しいパーツです。
デメリット部分はありますが、GeForce RTX2060搭載パソコンを安く購入できるモデルになります。
>>ツクモで「G-GEAR N1574K-720/T」を見る
同じ価格でも高スペックが良いならデスクトップPCを選ぼう
ノートパソコンとデスクトップパソコン。価格が同じなら基本的にデスクトップパソコンの方が高スペックです。
これはノートの方がパーツが特殊で高額になりがちだからです。
同じ金額を出すなら高スペックの方が良いと言う方はデスクトップパソコンを選びましょう。
ツクモ QS5J-A203/T
GPU | Quadro P620 |
CPU | Core i5-10400(2.9GHz) |
メモリ | 16GB |
価格 | 134,800円(税込)~ |
標準構成では価格が約19万するので、スペックを以下のように落とすことで約14万円のCADパソコンになります。
CPU:「Intel Core i7」⇒「Intel Core i5」
グラフィック機能:「Quadro P2200」⇒「Quadro P620」
マウス Z5-QP6
GPU | Quadro P620 |
CPU | Core i7-10700(2.90GHz) |
メモリ | 16GB |
価格 | 153,780円(税込) |
Core i7-10700(2.90GHz)搭載でこの価格は安いです。
レノボ ThinkStation P340 Tiny:スタンダード
GPU | Quadro P620 |
CPU | Core i5-10400T(2.00GHz) |
メモリ | 8GB |
価格 | 146,806(税込) |
「【おすすめ】ThinkStation P340 Tiny:製造・建築2次元CAD向けSSD搭載エントリー」はCore i3-10100Tですが、「【おすすめ】ThinkStation P340 Tiny:スタンダード」はCore i5-10400Tが搭載されています。
2DCAD用ノートパソコンに関する疑問
CADパソコンを選ぶうえで気になる疑問について解説します。
2DCAD用パソコンは中古でも大丈夫?
スペックさえ気を付ければ中古パソコンでも大丈夫です。
ですが、2DCAD用のノートパソコンは新品でもそれほど高くないので新品の方が安心です。
中古パソコンにはCPUの世代を明記していないものも多く、正確な性能が分からない事もあるので注意しましょう。
2DCAD用パソコンはレンタル・リース出来る?
CADパソコンのレンタルは可能です。以下のようなメリットがあります。
- 最新の機種を使える
- イベントやセミナーなど外出先で必要になった
- パソコン導入の初期費用が抑えられる
- 数日だけ使いたい
MacとWindowsならどっちが良い?
MacとWindowsの違いはCADソフトが対応しているかどうかです。
使用するCADソフトがMac対応であればMacでも問題ありませんが、まだMacに対応していないCADソフトもあるので、どのソフトを使うか決まっていない方はWindowsにしておく方が無難です。
またMacとWindowsは操作性が違うので、普段使っているパソコンと同じOSにするのも良いでしょう。
ノートパソコンのデメリットは?
ノートとデスクトップは同じスペックでもデスクトップの方が価格が安いです。
またメンテナンス性もデスクトップの方が良いので、可能であればデスクトップをおすすめします。
ただし持ち運んで作業がしたい場合はノートの方が良いですが、パーツを収納するスペースが小さいので高スペックのノートが欲しいと思っても限りがあると覚えておきましょう。
画面が小さい
バッテリー切れの心配がある
画面が大きい
メンテナンス性が良い
バッテリー切れの心配がない
スペースをとる
ソフト別!2DCADに必要なスペックはこれ
2DCAD用のおすすめノートパソコンを紹介しました。
ここでは、CADソフト別に必要なスペックを紹介します。より細やかな分類が出来るので、使うソフトが決まっている方は参考にしてください。
AutoCAD(LT)
AutoCAD(LT)のWindowsの動作環境(推奨スペック)は以下のようになっています。
AutoCADのバージョン | CPU | メモリ | GPU (グラボ) |
2022 | 基本:2.5~2.9 GHz 推奨:3GHz以上 |
基本:8GB 推奨:16GB |
基本:1GB(DirectX11互換) 推奨:4GB(DirectX12互換) |
2021 | 基本:2.5~2.9 GHz 推奨:3GHz以上 |
基本:8GB 推奨:16GB |
基本:1GB 推奨:4GB (DirectX11互換) |
2020 | 基本:2.5~2.9 GHz 推奨:3GHz以上 |
基本:8GB 推奨:16GB |
基本:1GB 推奨:4GB (DirectX11互換) |
2019 | 基本:2.5~2.9 GHz 推奨:3GHz以上 |
基本:8GB 推奨:16GB |
基本:1GB 推奨:4GB (DirectX11互換) |
2018 | 1GHz以上 | 32ビット:2GB(4GB推奨) 64ビット:4GB(8GB推奨) |
True Color、DirectX9対応WindowsDS DirectX11互換カード |
2017 | 1GHz以上 | 32ビット:2GB(3GB推奨) 64ビット:4GB(8GB推奨) |
True Color、DirectX9対応WindowsDS DirectX11互換カード |
2016 | 最低:Pentium4または Athlon64 | 32ビット:2GB(3GB推奨) 64ビット:4GB(8GB推奨) |
True Color対応WindowsDS DirectX9またはDirectX11互換カード |
2015 | 3Pentium4またはAthlon(Dual Core、3.0GHz以上、SSE2対応) | 2GB(8GB推奨) | True Color対応WindowsDS DirectX9またはDirectX11互換カード |
この動作環境を踏まえたAutoCAD(LT)の必要なスペックは以下のようになります。
AutoCADのバージョン | CPU | メモリ | GPU |
2022~2019 | 3GHz以上 | 16GB | 4GB(DirectX11互換) |
2018以前 | 1GHz以上 | 8GB | True Color、DirectX9対応WindowsDS DirectX11互換カード |
さらに詳しい情報を知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
Jw_cad
Jw_cadのWindowsパソコンの必要スペックは以下のようになっています。
CPU | Core i5 (第8世代) |
メモリ | 8GB |
GPU | CPU内臓のインテルHD グラフィックス |
ストレージ | SSD500GB |
OS | Windows10 |
さらに詳しい情報を知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
FreeCAD
FreeCADのWindowsパソコンの必要スペックは以下のようになっています。
OS | Windows10 |
CPU | Core i5(第8世代以上) |
グラフィックボード | インテル内臓グラフィック |
メモリ | 16GB以上 |
上記のスペックであれば安心して作業出来ますが、余裕が欲しいのであればもっとスペックの高いパソコンを使用するようにしましょう。
さらに詳しい情報を知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
将来的に3Dも視野に入れるならQuadroは必須
将来的に3DCADも使う予定があるなら、最初から高スペックなQuadro搭載パソコンを購入しておくと良いでしょう。
3DCAD用ノートパソコンについては以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
CADパソコンは高い買い物です。
ですが価格で妥協せず必要なスペックを確保することが作業の効率を高め、結果として高いリターンを得る事が可能となります。
ぜひとも価格だけでCADパソコンを選ばず質で選んでいただければと思います。