SolidWorksの動作環境は、販売会社のダッソーシステムズ社の公式HPで公開されていますが、CPUの数値は3.3GHz以上としか書かれておらずどのメーカーやモデルを選べば良いかが曖昧です。
GPUは認証パソコンを調べるページで推奨GPUの記載もあるのですが、低スペックから高スペックまで幅が広く、どれが搭載されているパソコンを選べば良いか迷います。
またダッソーシステムズ社の公式HPでは、GPU別に推奨パソコンメーカーと機種が紹介されていますが、メーカーサイトに行くとそのGPUを搭載していないという事がよくあります。
そこでこの記事では、SolidWorksの動作環境からパソコンの推奨スペックとおすすめのパソコンを紹介します。
目次
SolidWorksの動作環境とパソコンの推奨スペック
SolidWorks2019~2021の公式発表の動作環境(システム要件)は以下のようになっています。
OS | Windows7 SP1(64bit) Windows 10(64bit) SolidWorks2021はWindows10のみ |
CPU | 3.3GHz以上 |
メモリ | 16GB以上 PDM Contributor/ViewerまたはElectrical Schematic:8 GB以上 |
グラフィックボード | Quadro P500~RTX8000 Radeon Pro W5500~WX9100 |
ドライブ | SSDドライブ推奨 |
以上の動作環境をダッソーシステムズ社が公開していますが、このスペックは最低限必要な数値だと思ってください。
なのでこれ以上のスペックのパソコンでないと快適に動作するとは言えません。
そをふまえ推奨するパソコンのスペックは以下のようになります。
OS | Windows 10(64bit) |
CPU | Core i7~ Ryzen 7~ (3.3GHz以上) |
メモリ | 16GB~64GB |
グラフィックボード | Quadro P2200~RTX6000 Radeon Pro W5500~WX7100 |
ドライブ | SSDドライブ |
推奨スペックについて詳しく解説します。
OS
SolidWorksはWindows10で使用するのが良いでしょう。
Windows7SP1で動作しますが、マイクロソフトのサポートが切れているのでセキュリティを考えるとおすすめしません。
Windows10もバージョンがいくつもあり、最新のバージョンから3つ前までがサポート対象です。
またSolidWorksはWindowsのみで動作するソフトでMacでは動きません。Windows7もSP1でしか動かず、Windows8も動作対象外です。
CPU
SolidWorksの動作環境に記載されている3.3GHz以上というのは、高性能なCPUです。
モデルで言うとIntelのCore i7第10世代以上、AMDのRyzen7第5世代以上が望ましいでしょう。
IntelとAMDの違い
とはいえCPUは3.3GHz以上としか動作環境に記載されておらず、CPUの主要メーカーであるIntelのCoreシリーズかAMDのRyzenシリーズのどちらが良いかは分かりません。
3DCADはモデリング時にはクロック周波数が大きい方が良く、レンダリング時はコア数が多い方が良いです。
Intelはコア単体のクロック周波数が若干高いモデルがあり、AMDはIntelと比べてコア数が多い傾向です。
ベンチマーク的にはRyzenシリーズの方が性能が高いですが、レンダリングはGPUが請け負う場合があるので、コア単体のクロック周波数が高いIntelの方が良いと僕は思います。
また日本市場では、まだAMDよりもIntelの方がシェアが広く、選択できるパソコンが多いのもメリットです。
Intel Core i9第11世代は消費電力が異常に大きく性能もそれほど良くないので避けた方が良いでしょう。
メモリ
メモリは最低でも16GB必要と動作環境に記載されています。
ただしこれは最低限必要な容量で出来れば32GBにしましょう。
大規模アセンブリなどといった使用環境の違いにもよりますが、2016年の時点で16GBではメモリを消費してしまうので32GBにした方が良いという口コミも見られます。
GPU(グラフィックボード)
SolidWorksで推奨しているGPUはQuadro P500~RTX8000、Radeon Pro W5500~WX9100となっています。
ただ自作なら別ですが、販売されているパソコンのほとんどはQuadroが搭載されていてRadeon Proはあまりありません。
Quadroの安定性からそうななっているので、特別Radeon Proのファンでない限りQuadroで良いでしょう。
スペックは最低でもQuadro P2200以上(VRAM4GB以上)は搭載した方が良いく、それ以下だと衝突検知や合致設定などの動きが全く使い物になりません。
Radeon ProよりもQuadroの方が推奨ソフトが多い
SolidWorksではRadeon Proも推奨されていますが、AutoCADなどその他のCADソフトではQuadroのみ推奨という場合があります。
その他のソフトの使用も考えているならQuadroにした方が良いでしょう。
低スペックでも動くが趣味の使用に限る
正直なところSolidWorksで数パーツのモデリングやデータを確認するだけなら、Intel内蔵のGPUでも可能です。
またSolidWorksの設定で影を付けないなど低負荷にすれば使用可能ですが、業務使用を考えると手間な設定が増えますし安心して使えない事の方が多いでしょう。
反対に4GBのVRAMを搭載したGPUにすると劇的に表示速度が上がったという口コミもあるので、最低4GBのVRAMを搭載したGPUにしたい所です。
SolidWorksでGeforceやRadeonnがダメな理由
SolidWorksを使用するパソコンに、GeforceやRadeon(Radeonn Proではない)を搭載した場合は、不具合が報告されているので使用しない方が良いでしょう。
プロジェクタでちらつく
残像が出る
ATI Radeonのチップは表示のトラブルが多いようですね。
表面の陰影表示が簡略化される
描画がカクカクになる
特にGeforceの場合はDirectXに強くOpenGLに弱いGPUというのが理由です。
ドライブ(ストレージ)
データ保存を考えると最低でも500GBは必要です。ドライブはSSDとHDDがありますが、読み書きの速度が全然違いますのでSSDにするようにしましょう。
SolidWorksおすすめパソコン
おすすめのパソコンは扱うパーツ数の違いにより変わります。
- 200パーツ以下の小規模モデリング(アセンブリ) ⇒ ロースペック
- 1万パーツまでの中規模モデリング(アセンブリ) ⇒ ミドルスペック
- 1万パーツ以上の大規模モデリング(アセンブリ) ⇒ ハイスペック
それぞれに必要な構成は以下になります。
スペック | CPU | メモリ | GPU (Quadro) |
ロー | Core i7以上 | 16GB以上 | P2200以上 |
ミドル | Core i9以上 | 32GB以上 | RTX4000以上 |
ハイ | Core i9以上 | 32GB以上 | RTX6000以上 |
以下よりスペック別におすすめのパソコンを紹介します。
ロースペック
200パーツ以下の小規模モデリング(アセンブリ)
メモリ:16GB以上
GPU:Quadro P2200以上
ツクモ QA7J-C211/ZT
CPU | Core i7-11700 |
メモリ | 16GB |
GPU | Quadro P2200 |
価格 | 218,300円(税込) |
標準構成ではGPUがQuadro P620なのでカスタマイズでQuadro P2200に変更してください。
ミドルスペック
1万パーツまでの中規模モデリング(アセンブリ)
メモリ:32GB以上
GPU:Quadro RTX4000以上
ツクモ QA9J-J200/XT
CPU | Core i9-10980XE |
メモリ | 32GB |
GPU | Quadro RTX 4000 |
価格 | 435,279円(税込) |
標準構成ではGPUがQuadro P620なのでカスタマイズでQuadro RTX 4000に変更してください。
ハイスペック
1万パーツ以上の大規模モデリング(アセンブリ)
メモリ:32GB以上
GPU:Quadro RTX6000以上
ツクモ QA9J-J200/XT
CPU | Core i9-10980XE |
メモリ | 32GB |
GPU | Quadro RTX 6000 |
価格 | 974,279円(税込) |
標準構成ではGPUがQuadro P620なのでカスタマイズでQuadro RTX 6000に変更してください。
まとめ
SolidWorksの動作環境からパソコンの推奨スペックとおすすめのパソコンを紹介しました。
3DCADの中でもSolidWorksは、ワークステーションなどハイスペックなパソコンが必要なソフトです。
CPU、メモリ、GPU、どのパーツも妥協する事なく高性能な構成を作ることが、SolidWorksを快適に動かすには必要です。
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